旅の憂鬱、旅の旨味。

 

知らない街や国を旅するときの一番の不安は、治安でも言葉でも病気や怪我の類でもなく、ただひたすら、道に迷ったときのあの心細さなのです(←既に迷うこと前提)。過去に訪れたすべての国、殆どの街で僕は道に迷いました。


道に迷う人なら共感していただけると思いますが、「あ、迷ったな」という感覚は結構早いタイミングであるのです。そこで立ち止まって元の場所に戻ればいいのに、なぜかそれが出来ず、ひたすら歩きつづけて(もしくは運転し続けて)しまいます。


月に行くわけではないので、誰かに訊けばいいやと思いながら、大抵は人気のない、いかにも危険そうな地帯に足を踏み入れてようやく後戻りするという繰り返しです。


それでも一人歩きがやめられないのは、「ここはどこで僕は誰だろう?」という、あの浮遊しているようなみじめな心持ちが割と嫌いではないからなのでしょう(←と、自分に言い聞かせる)。

 

2年前に取材旅行に訪れたラトビアの首都リーガ。

今回は取材に協力いただいた人たちに、出来上がった本を渡すための旅です。

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